2013年07月20日

日常家事代理権と民法110条による表見代理



こんにちは!

夏も本番に近付きとても暑い日々が続いておりますが、今年度の試験までは残り4カ月を切っております。

暑さに負けず、今日も勉強がんばりましょう!!


今日はタイトルにもある通り、民法第761条の夫婦の日常の家事に関する債務の連帯責任の規定と民法第110条の権限外の行為の表見代理の規定に関してです。


まずは事例からです。

【事例】
妻Aは自らが経営する会社の債務を弁済するために夫Bの所有する土地建物(登記名義はB)を夫Bの代理人だと称してBに無断でCに売却し、登記も移転しました。この場合、夫BはCに対して土地建物の返還を請求することができるでしょうか?

なんと勝手な妻なんでしょうか!?夫の土地建物を勝手に売却して…夫婦関係がもはや壊れているのでしょうかね。

まぁ、それは置いておいて、この事例、何がポイントだか分かりますでしょうか?

この事例をパッと見た場合、民法110条の権限外表権代理が成立し、夫Bは責任を負わなくてはならないような気もしないでもないですが…

果たしてどうでしょうか!?


まず、ポイントその1です。

妻Aと夫Bは一応法律上の夫婦です。(壊れかけではありますが…)


そこで民法761条を見てみましょう!

第761条 日常の家事に関する債務の連帯責任
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。


例えば、妻が酒屋で夫と晩酌をするためにお酒をツケで買った場合、後日酒屋はその代金を夫に対しても請求することができるという規定です。夫婦は日常の家事に関する法律行為に関して生じた債務を連帯して負う責任があります。


では、判例はこの規定について何と言っているのでしょうか?

「その明文上は、単に夫婦の日常の家事に関する法律行為の効果、とくにその責任のみについて規定しているにすぎないけれども、同条は、その実質においては、さらに、右のような効果の生じる前提として、夫婦は相互に日常の家事に関する法律行為につき他方を代理する権限を有することをも規定しているものと解するのが相当である。」


として、夫婦間の日常家事代理権を認めています。


つまり、夫婦であるというだけで、法律上当然に日常家事に関して代理権が発生し、妻(代理人)が買ったお酒の代金を酒屋は夫(本人)に請求することができるというものです。


ではポイントその2です。

夫婦間に日常家事代理権があるのは分かりました。ではその代理権を基本代理権として民法110条の権限外表見代理が成立する余地はあるのでしょうか?


第110条 権限外の行為の表見代理
前条本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。


表見代理の規定です。覚えていますでしょうか!?

表見代理については⇒こちら


では、判例は何と言っているのでしょうか?

「夫婦の一方が右のような日常の家事に関する代理権の範囲を越えて第三者と法律行為をした場合においては、その代理権の存在を基礎として広く一般的に民法一一〇条所定の表見代理の成立を肯定することは、夫婦の財産的独立をそこなうおそれがあつて、相当でないから、夫婦の一方が他の一方に対しその他の何らかの代理権を授与していない以上、当該越権行為の相手方である第三者においてその行為が当該夫婦の日常の家事に関する法律行為の範囲内に属すると信ずるにつき正当の理由のあるときにかぎり、民法一一〇条の趣旨を類推適用して、その第三者の保護をはかれば足りるものと解するのが相当である。



このように判例は、夫婦の日常家事代理権を基本代理権とする権限外表見代理の成立を否定しています。なぜなら、夫婦の財産的独立が損なわれ、夫婦別産制が崩れてしまうからです。


なるほど…何でもかんでも妻が購入した物を夫に請求することができるとなると、夫は大変ですし、夫婦別産制なんて建前は無くなってしまいますよね。


しかしながら、判例は、`当該越権行為の相手方である第三者においてその行為が当該夫婦の日常の家事に関する法律行為の範囲内に属すると信ずるにつき正当の理由のあるとき’は110条の趣旨を類推適用するとも言っています。


つまり、相手方Cが妻Aの行為が日常家事の範囲内であると信じてさらに信じることに正当な理由があれば、相手方Cは110条の趣旨を主張でき、保護されることがあると言っているのです。


尚、あくまで110条を類推適用できるのではなく、110条の`趣旨’を類推適用できるわけですので注意が必要です。


つまり、相手方が保護されるためには取引をした夫婦の一方にその行為について代理権があると信じただけでは足りず、「その行為が当該夫婦の日常家事に関する法律行為の範囲内に属する」と信じたことが必要だとしたからです。


おさらいです!

民法761条は夫婦の日常家事代理権を規定したものである!

夫婦の日常家事代理権を基本代理権として民法110条の表見代理は原則成立しない!

しかし、法律行為の相手方に夫婦の一方の行為が夫婦の日常の家事に関する法律行為の範囲内に属すると信ずるにつき正当の理由があれば、110条の趣旨を類推適用して保護されることがある!



この3つですね^^


事例の結末としては、Aの土地建物の売却行為は夫婦間の日常家事に関する行為とは言えないことはもちろん、Cには信じるにつき正当な理由がなく、よって110条の趣旨は類推適用されることもなく夫Bは土地建物を返還請求することができました。


少し長くなりましたが、重要な判例ですのでピックアップしてみました^^




お読みいただきありがとうございました。


過去問対策は不可欠!様々な過去問集



なるほど、そういうことか〜と思われた方、ポチっとよろしくお願いいたします^^
  ↓↓
にほんブログ村 資格ブログ 行政書士試験へ

↓↓


民法一筋に生きた我妻先生の「民法案内」


posted by 行政書士試験WEBアドバイザー YASUHIRO at 18:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | (民法)代理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。